ホッジ双対の定義
実際の計算に入る前に、まずホッジ双対を定義する。ベクトル空間をVとする。λ∈ΛpVに対してホッジ双対*λ∈Λn-pVを、次の式がすべてのν∈ Λn-pVについて成り立つように定義する。n=2の場合の計算
この定義のもとに、2次元のときの基底のホッジ双対を計算してみる。V=R2、σ=e1Λe2とし、λ=e1に対する*λ∈Λ2-1R2 (= R2)を計算する。*λ=ae1+be2とおくと、
ν=e1とすると、
ここで、<e1|e1>=1、<e2|e1>=0なので、
次にν=e2とすれば、
ここで、<e1|e2>=0、<e2|e2>=1なので、
これらより、
同様に、λ=e2とすると
以上で基底についてのホッジ双対を計算することができた。次回は、ここで現れた作用素*が線形であることを述べる。線形なら、R2の任意ののベクトルについてホッジ双対が計算できるためである。
※ 以下は追記内容
n=2でp=2の場合
V=R2、σ=e1Λe2とし、λ=e1Λe2に対する*λ∈Λ0R2 (≅ R)を計算する。*λ=kとおくと、μ∈Λ0R2(≅ R)のため、μ=1とするとホッジ双対定義式の左辺は、
ここで k ∈ R と u ∈ R2 について、kΛu = ku (実数とベクトルのウェッジ積は、ベクトルの実数倍とすること)を使った。
一方、ホッジ双対定義式の右辺は、
ここでは、<1|1>0 = 1 を使った(以前に定義した記事)。
これらより、
したがって、
これは、2次元ベクトル空間の外積になっているのがおもしろい。a, b ∈ R2 について、a = a1e1 + a2e2、b = b1e1 + b2e2とすると、
となる。これは2次元ベクトル空間の外積と同じである。この外積の双線形性と交代性は、ウェッジ積の多重線形性と交代性、ホッジスター作用素の線形性から分かる。