2014年10月27日月曜日

2次元球面のクリストッフェル記号

R3における2次元球面S2の定義とパラメータ付けを前回と同じにする。パラメータの記号をu1 = θ、u2 = φとする。またS2の接平面をTS2とする。
以下でクリストッフェル記号の計算を行う。添字にはアインシュタインの規約を適用するものとする。

クリストッフェル記号の定義

この項目の流れは「テンソル解析(田代嘉宏著)」p.205を参考にしている。
点P(u1,u2) と点P'(u1+du1,u2+du2) における自然基底 { e1(P), e2(P) } と { e1(P'), e2(P') } は一般には異なるため、



とおく。このベクトル dTS2ej (ただし j = 1, 2) をPにおける自然基底で表す。



ここで、係数 ωij を duk により、



とおく。この係数 Γijk(iとjは対称) がクリストッフェル記号である。

クリストッフェル記号の計算

クリストッフェル記号と計量テンソル gij には、



の関係が成り立つ(「テンソル解析」p.205-206またはWikipedia「クリストッフェル記号」を参照)。これを使って2次元球面におけるクリストッフェル記号を計算する。
i = 1 とすると以下のように計算を進められる。このとき gij = 0 ( i ≠ j のとき) であることから、 l = i = 1 の項だけが残ることに気をつける。



これを行列表示して前回計算した gij を使うと、



となる。同様に i = 2 の場合についても計算すると、





以上で2次元球面におけるクリストッフェル記号を計算できた。

自然基底の微小変化

2次元球面のクリストッフェル記号が分かったため、それを使うと「クリストッフェル記号の定義」にある dTS2ej (ただし j = 1, 2) を以下のように計算することができる。





この dTS2e1 の結果から次のことが分かる。e1の変化は、θが0とπに近いときφの変化によってe2方向に大きい。
また、dTS2e2 の結果からは次のことが分かる。e2は、 θ = π/4, 3π/4 のときφの変化でe1方向にずれる。またθが0とπに近いときθの変化でe2方向に大きく変化する。

はリーマン曲率テンソル、リッチテンソル、リッチスカラーの2次元球面における計算を行ってみたい。

2014年10月18日土曜日

2次元球面のガウス曲率

数学には面の曲がり具合を表現するガウス曲率がある。この記事では2次元球面におけるガウス曲率を計算してみる。

2次元球面の定義

3次元ユークリッド空間R3の2次元球面S2
S2 = { (x,y,z) ∈ R3 | x2 + y2 + z2 = r2 }
で定義する(rは定数)。
このときベクトルr

としておく。さらにθ(0<θ<π)、φ(0<φ<2π)で
  • x = r sinθ cosφ
  • y = r sinθ sinφ
  • z = r cosθ
のようにパラメータ付けされているとする。

自然基底

ベクトルrをθとφで偏微分したものをそれぞれe1, e2とすると、自然基底{e1, e2}は

となる。

計量テンソル

計量テンソルgijを行列表示した[gij]は、

ここでE,F,Gを

とする。また[gij]は対角行列なので対角成分の逆数をとると、逆行列[gij]が

と計算できる。

第二基本形式の係数

自然基底{e1, e2}がなす平面に垂直なベクトルnを、

とする。ベクトルrの二回微分は、

となる。これらを用いて第二基本形式 II = L dθ2 + 2M dθdφ + N dφ2 の係数L,M,Nは、

と計算できる。

ガウス曲率

上で計算したE,F,G,L,M,Nによりガウス曲率Kは、

と計算できる。
球面の場合θとφによらない一定値になるようだ。

次は、2次元球面のクリストッフェル記号を計算してみる。
wxMaximaでのガウス曲率の計算もしてみた。