以下でクリストッフェル記号の計算を行う。添字にはアインシュタインの規約を適用するものとする。
クリストッフェル記号の定義
この項目の流れは「テンソル解析(田代嘉宏著)」p.205を参考にしている。点P(u1,u2) と点P'(u1+du1,u2+du2) における自然基底 { e1(P), e2(P) } と { e1(P'), e2(P') } は一般には異なるため、
とおく。このベクトル dTS2ej (ただし j = 1, 2) をPにおける自然基底で表す。
ここで、係数 ωij を duk により、
とおく。この係数 Γijk(iとjは対称) がクリストッフェル記号である。
クリストッフェル記号の計算
クリストッフェル記号と計量テンソル gij には、の関係が成り立つ(「テンソル解析」p.205-206またはWikipedia「クリストッフェル記号」を参照)。これを使って2次元球面におけるクリストッフェル記号を計算する。
i = 1 とすると以下のように計算を進められる。このとき gij = 0 ( i ≠ j のとき) であることから、 l = i = 1 の項だけが残ることに気をつける。
これを行列表示して前回計算した gij を使うと、
となる。同様に i = 2 の場合についても計算すると、
以上で2次元球面におけるクリストッフェル記号を計算できた。
自然基底の微小変化
2次元球面のクリストッフェル記号が分かったため、それを使うと「クリストッフェル記号の定義」にある dTS2ej (ただし j = 1, 2) を以下のように計算することができる。この dTS2e1 の結果から次のことが分かる。e1の変化は、θが0とπに近いときφの変化によってe2方向に大きい。
また、dTS2e2 の結果からは次のことが分かる。e2は、 θ = π/4, 3π/4 のときφの変化でe1方向にずれる。またθが0とπに近いときθの変化でe2方向に大きく変化する。
次はリーマン曲率テンソル、リッチテンソル、リッチスカラーの2次元球面における計算を行ってみたい。