外積代数の本を読んでいると、3次元でのクロス積との関連でホッジ双対の概念が紹介されることがある。「
微分形式と接続」の本で、3次元のときの基底のホッジ双対が計算例として紹介されていた。3次元以外の計算も試すことで、理解を深めてみたい。そこで今回は、ブログを書くリハビリもかねて計算手順を整理してみた。
ホッジ双対の定義
実際の計算に入る前に、まずホッジ双対を定義する。ベクトル空間をVとする。λ∈Λ
pVに対してホッジ双対*λ∈Λ
n-pVを、次の式がすべてのν∈ Λ
n-pVについて成り立つように定義する。
ここでσ∈Λ
nVは、Vの基底に対応するΛ
nVの基底である。
n=2の場合の計算
この定義のもとに、2次元のときの基底のホッジ双対を計算してみる。
V=R
2、σ=e
1Λe
2とし、λ=e
1に対する*λ∈Λ
2-1R
2 (= R
2)を計算する。*λ=ae
1+be
2とおくと、
ν=e
1とすると、
ここで、<e
1|e
1>=1、<e
2|e
1>=0なので、
よって、a=0。
次にν=e
2とすれば、
ここで、<e
1|e
2>=0、<e
2|e
2>=1なので、
よって、b=1。
これらより、
同様に、λ=e
2とすると
がいえる。
以上で基底についてのホッジ双対を計算することができた。
次回は、ここで現れた作用素*が線形であることを述べる。線形なら、
R2の任意ののベクトルについてホッジ双対が計算できるためである。
※ 以下は追記内容
n=2でp=2の場合
V=R
2、σ=e
1Λe
2とし、λ=e
1Λe
2に対する*λ∈Λ
0R
2 (≅ R)を計算する。*λ=kとおくと、
μ∈Λ
0R
2(≅ R)のため、μ=1とするとホッジ双対定義式の左辺は、
ここで k ∈ R と u ∈ R
2 について、kΛu = ku (実数とベクトルのウェッジ積は、ベクトルの実数倍とすること)を使った。
一方、ホッジ双対定義式の右辺は、
ここでは、<1|1>
0 = 1 を使った(以前に
定義した記事)。
これらより、
したがって、
これは、2次元ベクトル空間の外積になっているのがおもしろい。a, b ∈ R
2 について、a = a
1e
1 + a
2e
2、b = b
1e
1 + b
2e
2とすると、
となる。これは
2次元ベクトル空間の外積と同じである。この外積の双線形性と交代性は、ウェッジ積の多重線形性と交代性、
ホッジスター作用素の線形性から分かる。